津波の観測データ(波高や海底水圧)を見ると,最初に見えてくるのは海洋潮汐による1日に2周期の波です.
これを取り除く方法はいくつかあるようですが,海洋潮汐モデルを用いて必要な地点の予測計算をして引き算する方法があります.ここでは,国立天文台水沢で公開されているNAOTIDEJの短周期海洋潮汐モデル(NAO99Jb;日本周辺モデル)を使った潮汐補正を試してみました.日本周辺モデルは以下の範囲と解像度です.
対応範囲:110°E-165°E, 20°N-65°N
解像度:5 arcmin
NAOTIDEJのREADMEより:
DARTのように海水面上にあるGPSブイのように,海面高度(波高)を計測している場合は,itmode=1を使うようです.S-netやDONET等海底水圧計の場合は,itmode=2 を使うようです.
プログラムと海洋潮汐モデルは以下のファイルをダウンロードしました.
海洋潮汐予測プログラム:naotidej990909.tar.gz
海洋潮汐モデル:nao99Jb.tar.gz + nao99L.tar.gz
海洋潮汐モデル:nao99Jb_gc.tar.gz + nao99L_gc.tar.gz
注) READMEに従ってテスト計算するには,_gc が必要です.
naotestj.f が付属しているのでそれをベースにして,観測点の位置と
x = 146.192d0 ! East longitude in degree
y = 40.302d0 ! North latitude in degree
計算する時刻
c Start epoch
iyear1 = 2016 ! year
imon1 = 4 ! month
iday1 = 17 ! day
ihour1 = 0 ! hour
imin1 = 0 ! minute
c
c End epoch
iyear2 = 2016 ! year
imon2 = 4 ! month
iday2 = 19 ! day
ihour2 = 0 ! hour
imin2 = 0 ! minute
,出力間隔(DARTに合わせて15分)
c Output data interval in minute
dt = 15.d0 ! in minute
を修正して実行しました.NAOTIDEJの出力は,(何処かの)平均海水面からの潮位分なのでDARTの水深から直接引き算(naotestj.f はcm単位の出力で,DARTはm単位なので注意)すれば,潮汐補正されたデータを得ることが出来ます.
注) 時刻はDARTもNAOTIDEJもUTなのでそのまま比較できますが,JSTなデータを扱う場合は注意.
観測(紫)と計算(水色)(縦軸のスケールは合わせてあります.1ticが0.2m)を比べると計算したNAOTIDEJの方が少し小さい振幅なので,結果(緑)に少し潮汐が残っています.
気象庁が設置したのDART 21346のデータのプロット
これを取り除く方法はいくつかあるようですが,海洋潮汐モデルを用いて必要な地点の予測計算をして引き算する方法があります.ここでは,国立天文台水沢で公開されているNAOTIDEJの短周期海洋潮汐モデル(NAO99Jb;日本周辺モデル)を使った潮汐補正を試してみました.日本周辺モデルは以下の範囲と解像度です.
対応範囲:110°E-165°E, 20°N-65°N
解像度:5 arcmin
日本周辺モデルの対応範囲
NAOTIDEJのREADMEより:
- itmode = 1 : geocentric tideを計算します。geocentric tideは海洋潮汐と荷重潮汐の和です。海面高度計データの補正の場合はこれを使用します。
- itmode = 2 : 海底を基準とした純粋な海洋潮汐を計算します。海底圧力計データ等の補正の場合はこれを使用します。
DARTのように海水面上にあるGPSブイのように,海面高度(波高)を計測している場合は,itmode=1を使うようです.S-netやDONET等海底水圧計の場合は,itmode=2 を使うようです.
プログラムと海洋潮汐モデルは以下のファイルをダウンロードしました.
海洋潮汐予測プログラム:naotidej990909.tar.gz
海洋潮汐モデル:nao99Jb.tar.gz + nao99L.tar.gz
海洋潮汐モデル:nao99Jb_gc.tar.gz + nao99L_gc.tar.gz
注) READMEに従ってテスト計算するには,_gc が必要です.
naotestj.f が付属しているのでそれをベースにして,観測点の位置と
x = 146.192d0 ! East longitude in degree
y = 40.302d0 ! North latitude in degree
計算する時刻
c Start epoch
iyear1 = 2016 ! year
imon1 = 4 ! month
iday1 = 17 ! day
ihour1 = 0 ! hour
imin1 = 0 ! minute
c
c End epoch
iyear2 = 2016 ! year
imon2 = 4 ! month
iday2 = 19 ! day
ihour2 = 0 ! hour
imin2 = 0 ! minute
,出力間隔(DARTに合わせて15分)
c Output data interval in minute
dt = 15.d0 ! in minute
を修正して実行しました.NAOTIDEJの出力は,(何処かの)平均海水面からの潮位分なのでDARTの水深から直接引き算(naotestj.f はcm単位の出力で,DARTはm単位なので注意)すれば,潮汐補正されたデータを得ることが出来ます.
注) 時刻はDARTもNAOTIDEJもUTなのでそのまま比較できますが,JSTなデータを扱う場合は注意.
DARTの観測データ(紫;左軸)から,NAOTIDEJで計算した潮汐(水色;右軸)を引き算した結果(緑;右軸)
観測(紫)と計算(水色)(縦軸のスケールは合わせてあります.1ticが0.2m)を比べると計算したNAOTIDEJの方が少し小さい振幅なので,結果(緑)に少し潮汐が残っています.
潮汐を引き算した結果のみのプロット